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ワシントン水面下情報〜日高義樹氏(米国問題研究所々長)

 「小泉、ブッシュの良好な関係は変わらないが、日米関係にすきま風が吹いている」と言われます。今回の日高情報がそれを裏付けています。アーミテージ前国務副長官のような、日本びいきのキーパーソンがいなくなったこともありますが、「政治家」の質が落ちてきているという指摘は、日本にとって深刻です。アジア外交に活路を求ようとする安倍さんにとって、米国外交はこれまで以上に重要になるでしょう。

 ワシントンでは、いま「日本の問題」が小さく霞んでいるように見え、それにつれ、円に対する信頼が日に日に弱くなっている。ホワイトハウスやウォール街の専門家は「このままの状態が続けば、日本円は決して強くならない」と見ている。このことは日本ではあまり注目されていない。
彼らが日本円を買っていない理由は3つある。

  @アジアにおいて中国の軍事力と北朝鮮の核の影響力が強くなり、日本が軍事面で明らかに押されている。
  A日本が政治的に弱くなり続けており、小泉引退後、弱体化の歯止めがかからなくなるという見方をしている。
  B福井日銀総裁のスキャンダルが原因で日銀に対する信頼が落ち、円を保有したい人が少なくなっている。

 中国首脳を嫌っているブッシュ大統領、政治的な話し合いはしないものの、朝鮮半島、台湾、東シナ海にかけての軍事情勢は、すべて中国次第ということ。私が会ったブッシュ政権の首脳は口を揃えて言う「北朝鮮の核問題を解決できるのは中国だけだ」。従って、北朝鮮のことは中国に任せる、そのため他のことを犠牲にするという姿勢だ。

 即ち、人民元の問題、石油政策の挑戦的な姿勢、国内の人権問題について、ブッシュ政権は何も言えない立場に追い込まれている訳だ。他方、日本について、いまや政治的にも軍事的にも期待できない。ワシントンに来る政治家も、官僚の考えを鸚鵡返しに述べるだけで能力はない。日本のことなど放っておけという態度になっている。

 北朝鮮の実験失敗で、「大陸間弾道ミサイルは脅威に非ず」と米国はいったん警戒を緩めた。しかし、北朝鮮の急速な軍事力強化は侮れない。即ち、通常兵力の増強、38度線のすぐ北側のミサイル陣地を強化、ソウルに向けて1時間に50万発打ち込むとの情報もある。朝鮮半島は、いまや北朝鮮の軍事的脅威のもとにさらされている。

 ミサイル連射実験のあと、国連の厳しい決議案に韓国は反対した。しかも、その話し合いの場に韓国代表は全く姿を見せず逃げ回っていたとヴォルトン米国連大使が激怒。また、北朝鮮の高官が「ミサイル実験は朝鮮半島を米国の侵略から守るためのもので、韓国は費用の半分を負担すべき」との暴言に韓国政府は何の反応もしていない。

 「反米」の姿勢が強まりつつある韓国だが、米国は米軍を国連軍として地上部隊を韓国に駐留させることを明らかにしている。他方、米国内の保守的な専門家を中心に、「北朝鮮問題の解決を中国に委ねるのは間違っている」という意見も強くなっている。が、「6ヵ国協議による解決を中国に依存する」というブッシュの姿勢は変わらない。

 米国の軍事専門家は心配する「もし、台湾海峡に紛争が起これば北朝鮮の軍事力は中国の強力な連合勢力になる。特に、北朝鮮の核兵器とミサイルは米国を牽制するに十分だ。従って、中国がブッシュの要求を受け入れて北朝鮮問題を解決するはずはない」。とにかく、北朝鮮の通常兵器の増強、ミサイルの開発、核兵器はたいへんな脅威だ。

 為替の問題、いま「117円」あたりで安定しているが、本来は円が強くなってもおかしくないはず。即ち、金利が上がり、大企業の配当が増え、不動産が上がっている日本に対し、米国は双子の赤字が依然、増え続けているからである。結局、日本円は政治的な面で人々から嫌われている。日本円と日本の将来にとって明るい話ではない。

 いま日本では「デフレ経済から脱却した」ことで、かなり強気になっている。しかし、米国の金融専門家の見方は違う。
   @中国の軍事力がすさまじい勢いで増強されている。
   A金正日の核ミサイルが現実のものとなっている。
   B米軍再編成によって米軍がアジアから出て行ってしまう。
この3つの理由で、円の先行きはかなり厳しいと見ている。

2006年9月講演録











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