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「米中激突の日」〜その時、日本は・・・・・黄文雄氏(評論家)
 9日、北朝鮮が核実験を実施。今回は「血の同盟国」である中国が怒っています。面子を潰されたこともありますが、北朝鮮が核を持てばやがて台湾も・・・との懸念からと言われます。いま親密な「米・中」ですが、将来、軍事対決は不可避と見る黄さん、「1938年、台湾高雄生まれ。64年に日本に留学、早稲田大商学部卒」で、台湾の独立派の闘士。日本人以上に日本国家に対する思い入れを語ります。



 日本の中には、台湾と中国が絶対不可分の関係にあると見ている人が少なくない。それは違う。歴史的に見て、両国はずっと対立してきたのである。中国は台湾を統一すべきとして圧力をかけているが、台湾は頑なに拒否し続けている。それにはそれなりの理由がある。まず、台湾と中国との間は、国家・民族としてのアイデンティティが全く異なることだ。

 また、政治的システムや経済格差という国益面から考えても、絶対統一はできないという客観的状況がある。台湾の人口は現在2300万人だが、その70%は現状維持を望んでいる。従って、中国が台湾を統一するには武力に依るしか方法がないのではないか。2008年には台湾の総統選挙が行われる。しかし、独立派の陳水扁率いる民進党の人気は芳しくない。

 もし、国民党の馬英九主席が当選すれば、どうなるか? 彼は中国との統一を主張し、かつ反日派でもあるので、台湾は反日国家になり、日台関係は間違いなく悪化する。尖閣列島を日本から奪還すべしと主張するのではないか。この点が最も心配されているところだ。いま、独立派が多い台湾だが、2008年に向けて両者の争いはこれから激化していく・・・。

 台湾は次第に反日になりつつあるが、私はそれを懸念している。その理由,@日本語を話せる親日派が7〜80代を中心に約70万人いるが、これがどんどん減っていく。A中国の影響で反日教育が強くなっている。Bかつて台湾の主軸になっていた60年代から40年にわたって日本に留学していた人間が反日的に再教育されて、台湾の主流に今なっている。

 台湾の将来について、国の運命を左右するポイントは3つあると思う。@米国の世界戦略によって左右される。米国の「台湾関係法」が廃止されない限り、中国から台湾への武力行使はない。A中国の世界戦略の変化、あるいは中国の盛衰によって。台湾は大きな影響を受けざるを得ない。B台湾人自身が祖国防衛の決意をどこまで持っているか、などだ。

 他方、中国はどうか。共産党一党支配は、暴動の危機に直面している。このまま続けて行くことはできないのではないか。これまで外敵や仮想敵国を創出することによって、中国は内部矛盾を隠蔽してきたが、これがいつまで続くか? 一党独裁が限界に直面すると、台湾に対して武力行使をするのではないか。中台の戦争はもはや避けられないと私は思う。

 ここ10年、中国は軍事予算を3ケタに増やし、軍事規模を拡大し続けている。これは台湾への武力侵攻、米国に対抗して世界覇権を握るための準備と推測できる。他方、中国にはとしてエネルギー、水などの危機的な資源問題がある。中国が輸入している石油はすでに50%を超えている。経済成長を継続させるためには、世界からの「石油漁り」しかない。

 ところが、アフリカ、中近東からの石油輸入を米国によってコントロールされた場合、中国経済は崩壊する可能性がある。だから、資源を防衛するために、パキスタン・ミャンマーから島を借りて軍港をつくったり、軍事拡張を続けている。さらに、大陸間弾道ミサイルを含む「核戦力」に対する中国の自信過剰・・・これが米国を心配させている。

 いろいろ言われている米国だが、そのパワーは今後まだ、半世紀は続くと私は思う。特に、その軍事力だ。06年5月現在で軍事予算が5000億jを突破、全世界の48%もある。すべての国が束になっても敵わない。他方、中国は江沢民の時代から軍国主義の道を一直線に突き進んでいる。将来、日本、米国、台湾は軍事同盟を結ばざるを得ないのではないか。

 当分、米中の冷戦時代は続く。そのうちに、ロシア・インドが台頭してくる。では米・日・台に対抗して、中国・ロシア・インドが同盟関係に入るか。長い文明の歴史から考えて、それはあり得ない。やがて中国とインドは"資源衝突"を起こす。今や資源豊かな国となったロシアは、中国・インドをコントロールしながら、有利な立場に立つ。

 もし、「米:中」に武力衝突が起こったとき、地政学的に重要な台湾は米国の空母的役割を果たすだろう。同様に「日:中」の場合も、台湾の存在は日本にとって生命線になるはず。とにかく日台関係は同じ黒潮文化に育まれた歴史があり、文化面や精神的構造が非常に近い。海底資源、漁業の問題で紛争のタネを抱えている日中関係、心の準備が必要では?

 日本を外から見ていると、伝統的な価値観だけではなく国家を否定する・・・そんな思想的流れになっているという気がしてならない。つまり、平和主義と市民主義は日本が抱えている最大の問題だと私は思う。私は日本に来て42年になるが、客観的冷静に見て日本人は日本の国に対して、正しい認識を持っていないのではないか。その点を私は強調したい。

 台湾人の中で、7〜80代の人たちは言う。「太平洋戦争で日本は何も悪いことはしなかった。一番悪かったのは日本が戦争に負けたことだ!」将来、アジアの近代化は日本なくしては考えられない。小沢一郎氏が「普通の国になるべきだ」と言ったが、私は反対だ。経済もさることながら、日本はあくまでも「強い国、ニッポン」になってもらわないといけない。

 とにかく日本は、戦後の世界に貢献したのは紛れもなき事実。また、世界で住みたい国では、日本はカナダに次いで二番目。世界の人々の憧れの国なのである。そのためにも「強い日本」になる必要がある。しかし、日本独自の防衛は困難。日米同盟の大切さを再認識すべきだろう。それに台湾が加われば、アジアの平和は、今後30年は続く、そう私は思う。

2006年10月講演録


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