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「円安が続く・・・」その背景〜内橋克人(経済評論家)
今年に入って円安が続いています。輸出企業には追い風になってホクホクですが、輸入関連は頭を抱える状況です。この円安の背景は何か・・・経済評論家の内橋克人氏が分析します。


「異常な金利差」による歪み
1月29日円は122円20銭まで下落、これは4年ぶりの円安だ。従来の「ドル高、円安」であれば分かりやすいが、いま進んでいるのは「世界的なドル安の中での円安」。つまり、世界的にドル安が進行しているにもかかわらず、円高ではなく円安という現実・・・これは円に対する評価が低下したことに他ならない。

なぜ「円の評価」が低下したのか? それは長期にわたって続いている日本の「実質ゼロ金利」にある。まず、安い円で調達して、円以外の高い金利の国の通貨に換えて運用する。そうすることによって、たいへんな利ざやが稼げる。円キャリートレードと呼ばれているが、この取引が増えたことが直接の原因だ。 

それぞれの国の政策金利は、日本の0.25%という極端に低い金利に対し、米国は5.25%、英国は4.75%、ユーロは3.00%、豪州は6.00%、ニュージーランドに至っては7.25%という高さだ。そこで機関投資家は、日本で巨額の資金をタダ同然のコストで米ドルなどに換えて、高い金利の国に投資しているのである。

これをやると投資物件(債券や株など)の運用益のほかに、ドルと円との金利差、これがまた利益になる。ヘッジファンドなどは、この仕組みで巨額の利益を上げてきたのだ。とにかく、借り入れた円資金で米ドルなどの外貨を買う・・・つまり「円売りドル買い」、これが増えれば増えるほど円安は進んでいく。

心配される「巻き返し現象」
その規模は掴みにくいが、一説によると数十兆円にも達し、バブル状態に近い。最近は個人投資家も参入、3分の1に達していると言われる。さらに進んで、外為証拠金取引という信用取引にも手を染めている個人投資家も少なくない。いわば、自国の通貨が弱くなることを望んでいる国民が増えたということ。

他方、円安が続くと輸出産業関連はプラスで、今回の景気も円安効果に拠るところ大であった。しかし、今後を展望する上で、軽視できない点が3つある。

@すでに円の「実効レート(企業の輸出競争力)」で見ると、何と1975年頃の「1ドル360円時代」より下回っている。まさに史上初の安値圏に落ちている。

A仮に2月に日銀が利上げに踏み切ったとしても、なお先述の国々との金利差は、そのまま残り、円キャリートレードで利益を上げる余地は、まだまだ続く。

Bその一方、国際的な要因で巻き戻しという現象が起これば、一転して今度は急激な円高に転じる。そうなればヘッジファンドほか投資家は混乱状態になる。

つまり、借り入れている円資金を返すため、いっせいにドル売り円買いに走る。そうすると、最悪の「突然、急激な円高」に変わり、予想外の混乱が生じる心配がある。

 個人預金金利がゼロで放置されている・・・これが回りまわって円キャリートレードの利益の源泉になっている。この歪みを言及する声は聞かれない。

2007年2月9日 NHKラジオ朝のビジネス展望


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