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2006年経済予測〜大竹慎一氏(オオタケ・ウリツァ&CO)

 過去の資料をあさっていて面白い記事を見つけましたので、ご紹介したいと思います。
3月の決算では多くの企業がバブル以後最高の利益を上げたと報じられています。
また、日銀による量的緩和も解除されましたが、今年の2月に東京で開催された年頭経済予測で、ウォール街随一の日本人ファンド・マネージャーとして定評のある大竹氏は、2006年度の経済見通しについて、「日本の政財界は非常に楽観視しているが、ウォール街は必ずしもそうではない」と非常に厳しい見方をされています。

 昨秋、私は日本企業100社を訪問、中間決算の説明に耳を傾けた。確かに企業業績は良い。増収増益となっている。が、それ以上に材料原価(石油ほか)が上がり、コスト増となっている。これは粗利率が減っていることを意味しており大問題だ。だいたい景気が過熱して崩れる前というのは、企業はマクロベースで見て粗利率が減る状況になっているのだ。

 粗利率、即ちマージン率が落ちるということは、株価にとって決定的に悪いのだ。株価を決定づける要因は2つ。@総資産回転率が上がれば株価は上がり、下がれば下落。Aマージン率が上がれば株価は上がり、下がれば下落する。その1つであるマージン率の方が、いま問題になりつつあるわけだ。いま好調な製造産業ほど、概してそういう状態にある。

 一方、サービス産業はどうか。これもマージン率が悪化している。対売上人件比率が上がっているのが要因なのだ。人件費の高騰・・・これはこれからの要注意事項だ。特に好調な名古屋。万博の最中にはパートの時給が1500円まで上がった。また、東京も最近上がってきている。イトーヨーカ堂、イオンですら労働組合がパートの賃上げを要求したという話だ。

 訪問企業の中に大阪の「あきんどスシロー(回転ずし)」があった。社長いわく「昨年、東京圏に大々的に進出、20店近く出した。ところが減収減益。理由は採用、教育費を含む人件費によるコストアップだった。が、1〜2年して東京圏でブランド名が通るようになれば、情勢は変わるのではないか」と極めて楽観的だ。それを聞いて、ちょっと甘いなと思った。

 同じ外食産業のサンマルク。片山社長との会話。「上尾の函館市場店を閉店した」「儲かっているのになぜ?」「キャッシュフローが維持できないから。当分、東京へは進出しない」。人件費が相当上がりすぎて、キャッシュフローが守れないと言う。「このバブルはいずれ崩壊するだろう。それを待って、また再開すればいい」・・・この判断、私は正しいと思う。

 日本経済に影響が強い米国経済、今年の課題はFRB新議長のバーナンキ氏がどう出るのか? オイル、株(日本株を含む)の暴騰など、いろいろ悪さをしている過剰流動性をどう吸収していくかに尽きると私は思う。彼のやることは2つ。@金利を上げ続けて、過剰流動性を人為的に吸収してしまう。A人為的には難しいから神様(市場)の手に委ねる。

 もし、金利を上げ続ければ不動産バブルは崩壊し不況になる。当然ブッシュ政権は嫌がるし、政財界、民衆も困る。しかし、その圧力に負けて、金利を上げないとどうなるか。過剰流動性が残り、オイルは100ドル超えるかもしれない。カネの価値がなくなるから、株を支える力も喪失してしまう。どちらにしても、米国の先行きにとってロクなことはない。

 交代したあと、FRB議長とマーケットが「ハネムーンの破局」に陥ることが多い。バンズのときはドルが暴落、ボルカーのときは米国債が暴落、グリーンスパンのときはブラックマンデーで株価が暴落した。このジンクス、まだ生きているか? ここ3〜4ヵ月のうちに大きな波瀾が起る可能性がある。我々としては慎重にものごとを運んでいく必要がある。

 日本経済、今回の回復は短期的な景気循環的なもので、その要因は米国の消費の増加、中国の生産特需だ。この両方が落ちれば日本の景気回復は吹っ飛ぶ。こんなとき、日銀は量的緩和を解除するという。政府、財界は反対しているが、私はやらざるを得ないのではないかと思う。このままカネをジャブジャブにしておくと日本経済は玉砕してしまうからだ。

 いま話題のライブドア問題。この端緒になった株式分割について、東証の株式発行システムは石器時代のレベルだと思う。分割して新しい株の発行に50日も要し、その間に株価を上げるという話だが、これは欧米では考えられないこと。すべてコンピュータに登録されているから、株券がなくとも売ろうと思えば売れる。とにかく日本の制度は遅れている。

 日本の大手銀行・・・業績がいいと言われるが、中間決算を見ると、業務純益が全然上がっていない。何で利益を出したか? 不良債権を償却して引き当てていたものが、不動産が上がって不良債権でなくなった。それで引当金が戻ってきて利益に計上したというだけの話。東京の不動産バブルが崩壊すると、またぞろ損を被るが、それを吸収するだけの力はない。

 いつも質問されるSFCG(旧商工ファンド)。商工ローン事業については今後も儲かるだろうが、3万円を超えることは難しい。他方、最近しきりに提携やM&Aをやっているが、T・ZONE、エステー化学、ビオフェルミンと提携していったい何をやるつもりか。大島社長は健康食品事業に乗り出したいと言う。それが面白い形で見えてくれば3万円は突破するだろう。

 いま人気の高い金(ゴールド)。株への不安が高まり、「今年はやばい」と思っている連中が、金にシフトしている。金であれば、ドル、石油にやられ金利が上がっても、それなりのヘッジができるからだ。特に、ドル建てにとっては、金ほどありがたいものはない。金が上がれば金鉱株も上がる。メッツ(滅亡)が予想される年、安全パイとして買われるだろう。

 話題のインド株、ロシア株。バブっているときほど素人が買いたがり、日本人がよく飛びつく。そして最後にはババを掴まされるのだ。「今年はメッツ(滅亡)」というのが我々の常識。そんなとき機関投資家がどういう行動をとるか。自国市場へ回帰する、それが定石だ。では、どこからカネを引き上げるか。新興国(インド,ロシア)の成長株から切っていくのだ。

 2007年から団塊の世代が定年を迎え、シルバー産業の活発化が予想される。老人ホーム、ケアハウスをどこに作るか。郊外ではない、これからは都心だ。夜遊びのできるところ、例えば、銀座まで15分の六本木あたりに住みたいのだ。今度、大店法が改正されたが、もはや郊外ショッピングは時代遅れ。都心に店を作り、活性化できたところが勝ち組に残る!

2006年2月講演録




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