ほんとに出来るの〜
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1ユーロ=163円68銭と最高値を更新、「ユーロ高・円安」が世界の眉目を集めています。経済評論家・鈴田敦之氏が「円安、いいんじゃないの」というムードに警鐘を鳴らします。
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●ユーロになだれ込む日本マネー
ユーロの堅調が目立っている。円だけでなくポンドに対しても「1ユーロ=1.36836ポンド」で、これも2年4ヵ月ぶりの最高値だ。今やユーロ高、ドル安、円安の1強2弱の時代。為替を決めるのは金利差とリスクで、金利が低い日本から金利の高いドル圏、ユーロ圏にお金がどんどん流れるのは当然の勢い。
金利引き上げの打ち止め感に加え、住宅バブルの崩壊が懸念される米国に対し、このところEU圏の経済がいい。欧州中央銀行は6月にも金利を引き上げるのではないかと言われている。加盟国が27ヵ国に増えたが、各国とも設備投資、消費の伸びがすこぶる好調だ。その機関車的役割のドイツも復調しつつある。
特にドイツの場合、大半が域外だった輸出が、EU加盟国が増えたため、その半分以上が域内への輸出となった。それによって為替状況が好転、これがいい影響を与えたわけだ。たいへん難しかった時代を乗り越えたEU経済、いい循環が始まっている。そういうわけで、今世界の資金がEUに流れ込んでいる!
例えば、昨年、日本からEUに流れ込んだ資金は660億ドル、01年に比べて7倍にもなっている。その他、中東のオイルマネー、外貨準備高が増えている新興国が従来のドルではなくユーロで持とうとしている。経済の踊り場に来ている日本は、すぐ金利を上げる状況ではないので秋口まで円安基調が続くと思う。
●東京市場は「第9位」
円安は輸出にはプラス。これは景気の下支えになるし、輸出企業にとってもハッピーだ。また、かなり大胆な外貨建投信も大人気…「円安、いいんじゃないの」というムードが高まっている。私は円安のメリットを認めた上で、「目先の利益で円安がいいよと喜んでいていいのか?」という問題を提起してみたい。
それは円の存在感が大きく落ちていることだ。例えば、世界の外貨準備高の中に占める円の割合は、今までドルが一番多く、次いでユーロ、円は3番目だった。が、05年、ポンドに抜かれ円は4位になった。また、円の実効為替レート(使用通貨に対する総合的な通貨の価値)もプラザ合意の水準まで落ちている。
つまり、当時の「1ドル=220円」ということ。円安はそこまで進むという声もあるがどうか? シティの情報機関である「コーポレート・オブ・ロンドン」が3月発表した世界のフィナンシャルセンターのランキング(通貨における人材、ビジネス環境、インフラ、市場アクセスなどを評価したもの)では、東京市場は9位だ。
1位はロンドン、2位NY、3位香港、4位シンガポール、5位チューリッヒ…東京市場の衰退が目立つのだ。ともあれ、円の国際的存在感が大きく落ちていることは間違いない。東京のマネーマーケットの機能や評価をもっと高める努力が肝要ではないか。「円安、いいじゃないの」と浮かれている場合ではない。
| (NHKラジオ・「朝のビジネス展望」より) 2007 年5月 |
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