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ほんとに出来るの〜
ほんとに出来るの〜ネットで金儲け
講 演〜これからの経済と経営〜
柳谷勝美氏((財)南都経済センター理事長)

 突然の株価世界同時安で、一瞬ヒャッとしましたが、ようやく落ち着きを取り戻し、日本経済も再び巡航速度に乗った感じです。「短期から超長期に至るまでの4つの循環サイクルが、初めて『同時に右肩上がり』に入った今年は、後半必ずよくなる!」が柳谷さんの見通しです。「経済、経営の現場」を熟知している柳谷さんの講演は、一般のエコノミストにはない分かりやすさと「味」があります。

 今年は「4つの経済指標」において、同時に強い循環サイクルに入っている。即ち、@短期サイクル・・・在庫循環サイクル。3〜5年程度。A中期サイクル・・・よく儲かるから機械を入れようといった設備循環サイクル。10年程度。B長期サイクル・・・工場を建てるとか大掛かりな設備投資など。20年ぐらい。C超長期サイクル・・・50年のいわゆる黄金循環期。

 この好循環期の一番根底になっているのは、IT産業やネットビジネスではなく、実は製造業であり、重厚長大産業なのである。あれだけ不況に喘いでいた造船が、今や3〜4年受注で満杯。新日鉄も粗鋼生産を含め4〜5年先までの受注を抱えている。コマツも利益率で王者のキャタピラーを凌駕した。さらに工作機械は50ヵ月連続で前年水準を上回っている。

 これによって産業構造も、単純な「もの造り」から「すりあわせ型」に変わった。その結果、輸出も最終消費財から資本財が中心となった。今や欧米に行ってもメイドインジャパンは目につかず、ほとんどがメイドインチャイナだ。携帯電話の「ブルブル」という振動、資本財もの造りの典型だが、あれは長野県の200人程度の企業が発明、世界を制覇した。

 堀場製作所の堀場さん(最高顧問)から聞いた話「欧州の会社を買収してみてわかったのは、日本の技術に対して欧州は完全な"白旗状態"」とのこと。トヨタやキャノンに代表される日本の製造業は、技術で今や世界を席巻しており、同時に、言われている「勝ち組」でもある。他方、これ以外の産業や企業はすべて「負け組」か、と言えばそうでもない。

 一例は、アパレル産業。ある織物業者、30年前私は「この技術は時代に即しておらず早晩消える」と思った。が、今だに生き残っている。その秘訣は何か。営業と同じだけのウエイトをバックヤード(人力、資本)に置いてきた。つまり、納品は必ず1日前に、検品を徹底し不良品ゼロに・・・これを地道にやってきたわけだ。これでいけば2割は生き残れる。

 非製造業である流通、サービスも同じことが言える。不特定多数のお客を対象に「品揃え」だけを考えるのではなく、特定のお客を対象にした一品勝負、これが時流に乗るのではないか。その意味で、「品物を選ぶ」から「店を選ぶ」時代になり、サービス部門に資本、人力をいかに投下するかである。「倹約してパートに入れ替えよう」という考え方はダメだ。

 これから団塊の世代が定年に入る。今まで15、6歳の女性をターゲットにしていたユニクロやマツキヨなどに象徴される消費構造、それが大きく変わりつつある。1500兆円もある個人金融資産の65%を持つ55歳以上、その層を対象にした市場構造にならざるを得ない。この層は本物志向で、現に平均600万円もする世界クルージングが3年先まで満杯という。


 これからの消費のキーワードは「カ・ケ・イ」だ。「カ」は感動。不況の代名詞だった映画産業が復活。東宝などは580億円も稼いだ。感動を呼ぶ商品やサービスが貴ばれるのだ。「ケ」は健康。高価なスポーツクラブやレクレーション施設が利用される。「イ」は癒し。定年後、演奏を愉しむ人が増える。楽器が品切れだ。子孫に美田を残すという発想はない。

 さて、日本経済だが、これからどうなるか? 景気拡大が6年目に入り、上場企業の4割は、この3月期決算で空前の利益を上げるだろう。キャッシュフローベースでも資金は潤沢すぎるほどある。ところが、一般国民の景況感は今一つ・・・。勤労者層の賃金が上がらないからである。この原因は人件費が国際競争に晒され、抑制されていることにある。

 今、国内の製造業労働者は927万人、それが海外で雇っている300万人と勝負をしているわけで、賃金は上がりようがない。また、日本の場合、業績が悪化しても給料は下げられないという「賃金の下方硬直性」が働く。つまり、経営者は業績が良くても将来を慮って給料を上げたがらない。これが景気が好転しても消費性向が上がらない原因となっている。

 日本国民の貯蓄率が減少している。1975年に23%を超えていた貯蓄率が07年には1%台になってきて、米国の0%台に近づいている。住宅ローンの借り入れが3軒に1軒あり、4軒に1軒は貯蓄がない。他方、1500兆円ある個人金融資産は、毎年50〜70兆円も積みあがっている。このインバランスは、まさに「優勝劣敗」「二極分化」時代の到来ではないか。

 企業経営においても格差は拡大している。「3つの過剰」をクリアし、円安に恵まれた上場企業は利益を上げる反面、時流に乗り遅れた中小企業はどんどん倒産や廃業に追い込まれている。特に、流通面で大きな問題がある。それは、生産者とユーザーがネットで結びつく「中抜き経済」だ。問屋や零細小売業が廃れていく、これで果たしていいのだろうか。

 これまで日本は「1億国民皆保険」の国だった。今までの経営者は従業員を可愛がり、下請けを大事にした。従って、わが社はそれほど儲けなくとも従業員や下請けと共に利益を分かち合いながら、永遠に栄えていこうという考え方があった。が、時代は変わった。今後は日本も株主資本主義に大きく変貌し、国際的なM&Aもどんどん進んでいくだろう。

 中国に端を発した株価の調整、私は心配ないと思っている。日本株式のPERは22〜23倍で決して買われすぎてはいない。株主配当も増えていく。業種別に見て銘柄を選べば、1つか2つは3〜5年先に2倍になる株もあるはず。決算が判明する頃から上昇、年央あたりは2万円を超えるかもしれない。ともあれ、わが国は50年に一度の黄金循環に入っている!
2007 年3月12日


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